福源酒造 オンラインショップ
カート
福源では手造りにこだわっています。日本酒の原料である米、麹、酵母は生き物です。気候や条件に左右されやすい状態の変化を五感で捉えながら、生き物が本来持っている力を最小限の手入れで最大限引き出すことを心がけています。

このたび、私自らウェアラブルカメラを付けて手元の映像を撮ってみました。工程の詳細な解説は他に譲るとして、手造りによる仕込みの一部をご紹介します。お米の様子が工程ごとに変わっていく点にご注目ください。

なお、酔いやすい方は映像を見る際に十分ご注意ください。
1洗米
 精米された米を洗います。吟醸酒用などの米は粒がとても小さくヌカが多いため、粒がくっついて塊になってしまうことがあります。そのため塊を手でほぐすように米を洗います。お米と洗う水との温度差が大きいとお米が割れてしまうため、7℃の水を使用します。あまりに冷たいので蔵人からは嫌がられる作業ですが、美味しいお酒を造るために欠かせない作業です。
2晒(さらし)
 吸水させた米を蒸し器で蒸したのち、放冷機で蒸米の温度を下げます。狙いの状態になるよう、手や温度計で確認しながら蒸米を送る速度を細かく調整します。種つけもこの段階で行います。放冷機の風を利用して麹菌を均質につけることができます。
3盛(もり)
 麹室に引き込んだ種麹を床(とこ)で寝かしたあと、杉の箱に盛り、布をかけて保温しながら発酵させます。発酵が進むと温度が上がるので、温度計と手で確かめながら、発酵にムラがないよう手を入れます。適度に乾燥させることも重要です。乾燥により麹菌が水分を求めて米の深部まで入っていきます。麹は状態が変化しやすいため、この作業は泊まり込みで行います。
4枯らし
 発酵が進んだ麹を麹室から”枯らし場”に出して乾燥させます。この枯らし場は蔵の三階にあり、安曇野の乾燥した空気もあってよく乾燥します。さらに土蔵の蔵のおかげで温度が安定しており、極寒の冬でも氷点下を下回ることがありません。麹の乾燥に適したこの場所は、福源の特長の一つです。
5酒母造り
 出来上がった麹に蒸米・水・酵母・乳酸を混ぜ、そこに温水を入れた湯たんぽのようなタンクを中に沈めます。タンクを入れたとたん、タンクの淵から泡が出てきます。これは麹菌が米のデンプンから生成した糖を、酵母がアルコールと炭酸ガスに分解しているところです。これが日本酒の特長である”並行複発酵”が行われている瞬間です。これを見るたび、生き物の力のおかげで日本酒が生まれていることを実感します。酒母は”酒の母”と書くように、酒母の出来がお酒の味を左右します。酒母の状態を目・耳・鼻で確認し、丁寧に温度管理をして仕上げていきます。
いかがでしたか。手仕込みの様子が伝わったでしょうか。

この後は酒母を仕込みタンクに移し、三段仕込みで清酒に仕上げていきます。

手造りの味をどうぞお愉しみください。